3月で一時的にゲーム熱が冷めたのだが、にわかにまた私の身体は熱を帯び始めた。

FF7Rである。

ff7r

このFF7Rのプレイによって、私は20年にも渡って積もりに積もった怨念をようやく振り払い始めている。

私が子供の時、ゲームは兄の独占物であった。私は傍らで兄のゲームプレイを指をくわえて、見ているだけ。プレイしようとすると、必ず邪魔され、強制的に止めさせれる。

家庭ではゲームの時間は決められており、兄だけがその有限のゲーム時間を消費する。私には快適なゲームプレイの時間は残されていなかった。

意を決して、夜な夜なゲームの電源をオンにし、プレイしたこともあった。しかし、それは決して快適なプレイではなく、トイレで夜中に目覚めるかもしれない親の足音に常に気を使わなければならない、そういった状況下でのプレイだった。誰にも邪魔されず、ゆっくりとその世界を楽しむ。そういうゲームプレイでは決してなかったわけだ。

そのうち、私は県外の中学校に進学し、フツーに部活や勉学に取り組む学生になってしまった。高校・大学と進み、学生らしい学生として振舞っていると、自然とゲームから距離を置くことになった。

今でも、私の身体のどこかには、子供のころに思う存分ゲームを楽しめなかった記憶が残っている。かれこれこの半年くらいは、SteamでもPS4でも有名無名のタイトルを買い漁り、ゲームとの密度の濃い時間を過ごしてきている。それでも、まだ「オレは遊びきれていないんだ」という観念を拭い去れてはいない。

そういう状況下で発売されたFF7R。あのゲーム欲を圧された20年前、私が心ゆくまでプレイしたいと思ったのは、ドラクエ4とFF7だった。FF7Rをプレイすることで、あの頃からずっと積もってきた怨みを晴らすことができる、直感的にそう思った。

ff7

私は今FF7Rをプレイしている。コロナウイルスによるリモートワーク環境も手伝って、夜にがっつり時間をとって集中してプレイしている。

たしかに、私が体験しているのは、声もない場所で、ゴツゴツしたポリゴンむき出しのクラウドやティファが動き回る、あの世界では決してない。似てはいるものの、生き生きとした声が与えられ、街に細やかな描写が与えられた、別の世界ではある。それでも、この世界体験は私のゲーム欲を隅から隅まで満たし始め、プレイ開始から私の毎日はにわかに活力を帯び始めた。

ようやく私は長年にわたり抑圧されていた衝動を解放し、新たな一歩を踏み出すことができるのかもしれない。